10,000円以下
〜30,000円
〜50,000円
〜100,000円
100,000円以上
この度、店名が「ロワゾブルー」から「カンテ・イスタ」に変更になりました。今後とも変わらず「カンテ・イスタ」をどうぞよろしくお願い致します。
Vol.06 日本人のヒンシュクとアメリカ人のヒンシュク
常々思っていた。『アメリカ人女性はがさつだ』と。
最初にお断りしておくがこれは悪口や中傷ではない。以前別の仕事でマサチューセッツとカリフォルニアに在住していたこともあるし、現在の仕事の関係もあって、 アメリカ人の友人知人は少なくない。私のことを「ウチの2番目の娘のミナだよ」と 言って紹介してくれる”アメリカの家族”もいる。
ひょっとしたら日本の家族や友人達より結びつきが強いかもしれない。
そりゃあ時々は国民性から来る考え方の違いで意見が衝突する時なんかは、「何それ?!むかつく〜!これだからヤンキーの考える事は!」となることもあるが、それでもアメリカ人は好きだ。私にとってはアメリカはもう一つの故郷であると言ってもいい。
しかし!これだけは言わせていただきたい。失礼になろうが何だろうが、やっぱり アメリカ人女性はがさつである!べつに彼女達が下品であるというわけではない。いつもチャラチャラしているように見えても、実はアメリカ人はマナーにうるさい。特に食事の場や公共のスペースで はそれが顕著に表れていると思う。レストランや映画館での順番待ちでも、「いつま でも待たせるんだよ〜」とブツクサ言いながらも、みんなきちんとおとなしく待っている。日本では時々列に割り込んだりする”ヒンシュクな人”もいるが、私は今までアメリカでそういう人に遭遇したことは一度もない。人が多く集まる観光地に行っても、ゴミが散乱してる・・・なんてことはめったになかった。
これは私の独断であるが、あれだけ多くの人種的背景が異なった人達が一つの国に暮らしているので、「この国に住んでいるからには最低限これだけは守って仲良く暮らそうね」という部分が『マナー=約束ごと=掟』として定着しているからではないかと思う。

たぶん、多くの方がご存知だと思う。汚い話で恐縮だが、アメリカでは『げっぷ』は大変失礼な行為である。日本ではむしろ下半身のほうからの音が失礼とされているが、アメリカでは逆である。もし自分がそれを人前でしてしまった場合、すかさず” Excuse me.”と謝る。4〜5歳くらいの小さな子供でもそれは同様である。ましてや女性なら尚更である。アメリカ人女性なら赤面ものの行為にあたる。
それなのに!どうして彼女達は、あくびをする時に人前で扁桃腺まで見えそうなくらい大口をあけるのだろう?どうしてくしゃみや咳をする時に、手で口を覆わないで豪快に飛沫を飛ばすのだろうか?あれだけげっぷに対して神経を使うのに、である。

以前、マサチューセッツにいた頃、友達のジョンと彼の友達カップルと4人でボストンに遊びに行った時のことである。ちょうど夏休みの最中ということもあって、どこに行ってもすごい人混みで私達全員ぐったりしていた。ちょっと休憩しようということになり、コーヒーショップに入った時のことだ。
ジョンの友達のガールフレンドのエリンがあくびを連発し始めた。大学院生だった彼女は、前日遅くまでかかってレポートを仕上げていたとかで、寝不足だったのだと思う。それを見ていた私もつい、つられてあくびをしてしまった。その私の様子を不思議そうにジョンが見ていたのには気づいていたが、別段気にも留めなかった。コーヒーショップを出た時、ジョンがこっそり私に耳打ちしてきた。「ミナ、どうして君達日本人女性がエレガントなのかその秘密がわかったよ」と言う。私はがさつではないと思うが、”エレガント”と評されるほどの領域にはないと思うので、その言葉にびっくりした。
「何がわかったって?」「いや、エリンがあくびをした時に気づいたんだよ。君達日本人はあくびをする時、手で口を隠すのが習慣なの?」「当たり前じゃない。だって人前で失礼でしょ?日本では当然のことだと思うけど。」「なるほど。そこが大きな違いなんだな!」と彼は何度も頷いていて、「beautifulな習慣だ」という言葉をしきりに連発していた。それ以来、私はアメリカ人、特に女性ががあくびをする時の様子をチェックするという妙な癖がついてしまった。15年以上経った今でも・・・ である。
なるほどジョンが言った通りである。ほぼ100%に近い女性が大口をあけていた。はっきり言って、あれは同性から見ても興ざめする光景である。

先日も買い付けの際、L.A.の空港でアリゾナのフェニックスに行く乗り継ぎ便を待っていた時のこと、私の斜め前にスーパーモデル顔負けのアングロサクソン系の美女が座った。思わずタメ息が出そうなほどきれいな人で、私を含めてその場にいた人全員が、彼女に目が釘付けになっていたと思う。ひょっとしたら、女優かモデルの仕事をしている人だったのかもしれない。とにかくものすごい美人だった。彼女もみんなの目が自分に集まっていることを十分意識して振舞っていた。・・・と、その時である。その美女が突然うつろな目で空中を見つめたかと思うと、「へーくしょんっ!」と豪快なくしゃみを2回連発したのである。その瞬間、うっとりと彼女を見つめていた人達全員が決まり悪そうに目をそらした。まるで魔法が解けたかのようだった。その後そっと周りを見回してみると、彼女を見ている人は誰もいなくなっていて、新聞や本にそれぞれ没頭したり、連れの人とおしゃべりしていた。当の美女本人はそれをまったく気にする様子もなく、バッグをかき回してティッシュペーパーを取り出すと、盛大な音をたてて鼻をかんでいた・・・

あくびやくしゃみ等の小さな行為にさえ、国民性の違いが表れる。アメリカ人が悪いとは言わないが、あらためて日本人の他者に対する気遣いや『美学』を認識した気がする。アメリカ人女性のパワフルさに、あとほんの少し日本人の持つ繊細さが加わったら向かうところ敵無しだと思うのだが・・・
アメリカでくしゃみやあくびをする女性を見る度に、「手で隠したほうがいいですよ」と言ってあげたくてたまらなくなる私は、骨の髄まで『日本人』である。
<<<前のページへ 123456
Copyright (c) 2005 Canteista All Rights Reserved.